タイミング法
不妊の検査で明らかな問題が見つからないが夫婦生活を行っても妊娠しない方にはタイミング法をお勧めしています。
排卵日を予測して、それに合わせ夫婦生活を取っていただく方法です。 排卵された卵子が受精する能力を維持できる時間は、排卵後8~12時間までと言われています。その時期を予測するため生理10日目ごろより経膣超音波にて卵胞の大きさを測定、排卵時期に合わせて夫婦生活を取っていただきます。
タイミングには自然周期で行う方法と排卵誘発をした周期の2通りあります。
結婚したけれど何らかの理由で妊娠しない・・
「どうしてなの~」と少し不安や焦りを感じ始めていませんか?
「病院に行ってみたいけど・・」「もしかしたら不妊症なの・・」などと悩んだりどうしていいか解らず立ち止まっていませんか。
不妊症は決してめずらしい事ではありません。
赤ちゃんが欲しいと思っていても妊娠しない場合は一度相談されることをお勧めします。
当院では、カウンセリングはもちろん不妊治療全般の一般不妊、高度生殖医療、先進医療を行っています。また生殖医療から妊娠、出産まで継続して通院して頂くことが出来るのも当院の魅力のひとつと考えています。まずは一人で悩まず気軽にご相談ください。
不妊の検査で明らかな問題が見つからないが夫婦生活を行っても妊娠しない方にはタイミング法をお勧めしています。
排卵日を予測して、それに合わせ夫婦生活を取っていただく方法です。 排卵された卵子が受精する能力を維持できる時間は、排卵後8~12時間までと言われています。その時期を予測するため生理10日目ごろより経膣超音波にて卵胞の大きさを測定、排卵時期に合わせて夫婦生活を取っていただきます。
タイミングには自然周期で行う方法と排卵誘発をした周期の2通りあります。
タイミング法を半年から1年試しても妊娠に至らない場合や頸管粘液分泌不全、精子の数が少ない、運動率が悪いといった方に人工授精をお勧めしています。
排卵日を予測しご主人にマスターベーションで精子を採取していただきます。
採精した精子を洗浄濃縮処理にかけ、元気な精子だけを回収しカテーテルを用いて直接子宮内に注入します。
凍結融解胚移植件数 | 妊娠率 | 流産率 | |
---|---|---|---|
2020年 | 203 | 34.0%(34.7%) | 24.6%(25.5%) |
2021年 | 218 | 38.5%(35.4%) | 21.4%(25.4%) |
2022年 | 228 | 38.6%(36.0%) | 24.1%(24.8%) |
2023年 | 259 | 39.4%(36.9%) | 20.6%(24.8%) |
※( )内はその年に公開された全国の妊娠率、流産率
両側卵管閉塞や精子が極端に少ないなど自然妊娠が厳しい場合や、タイミング法・人工授精を複数回行っても妊娠しない場合にお勧めしています。
高度生殖医療では卵子を体外へ取り出し、採取していただいた精子と体外で直接出会わせて受精させます。
同じシャーレの中に卵子と精子を入れ、精子自身の力で受精させる「体外受精」と精子1匹を卵子の中へ直接注入して受精させる「顕微授精」があり、どちらかの方法で卵子と精子を出会わせます。
受精した後は体外で培養し、ある程度育った段階で子宮の中へ戻し、着床を待ちます。
膣壁から細い針を刺して卵胞の内用液(卵胞液)を採取します。
顕微鏡下で確認しながら卵胞液内に浮遊している卵子を探し出して回収します。
卵胞液内の卵子
※採取した直後の卵子は卵丘細胞というたくさんの細胞に覆われています。
密度勾配法とスイムアップ法を行い、良好な精子を回収します。
【密度勾配法】
精液と培養液を混ぜてからアイソレイトと呼ばれる分離液の上にのせ、遠心分離にかけます。奇形精子や白血球などはアイソレイトにトラップされ、良好な精子は沈殿します。
沈殿した精子を回収し、洗浄濃縮します。
【スイムアップ法】
密度勾配法で回収、洗浄濃縮した精子の上に新しい培養液を重ねて(重層して)一定時間静置したのち、培養液の上部まで泳いできた動きの良い精子のみを回収します。
遠心
遠心
重層
静置
培養液を入れたシャーレの中に良好精子の濃度が約20万/mlになるように精子を入れ、そこに卵子を2~3個入れて精子の力で受精させます。
約4時間後に卵子についている卵丘細胞を除去し、卵子の成熟具合、受精しているかどうかを確認します。
2個の極体ができるものは受精していると判断します。
体外受精の受精率は70~80%です。
※卵子と精子を出会わせる操作を「媒精」と呼びます。
成熟卵(MⅡ)
受精
受精卵
※1個の極体を放出した成熟卵に精子が侵入し、受精すると2個目の極体が放出されます。
未熟卵(MⅠ)
未熟卵(GⅤ)
変性卵
受精
受精卵
※1個の極体を放出した成熟卵に精子が侵入し、受精すると2個目の極体が放出されます。
顕微授精は成熟している卵子にしか行えないので、卵子についている卵丘細胞を除去し、卵子の成熟具合を確認してから行います。
処理しておいた精子の中から形、動きがともに良い精子を選別し、卵子1個につき1匹の精子をインジェクションピペットと呼ばれる細いガラス針を使って卵子の中へ直接注入して受精させます。
顕微授精の受精率は80~90%程度です。
採卵翌日(体外受精、顕微授精の約18時間後)に正常に受精しているかの確認を行います。
極体と前核がそれぞれ2個ずつ確認できるものを正常受精と判断し、培養を継続します。
成熟卵
精子侵入
精子侵入
第2極体放出
正常受精
写真のように、前核が1個しか確認できない、3個確認できるといった場合は異常受精と判断します。
温度、二酸化炭素濃度などが一定に保たれるインキュベーターと呼ばれる培養庫内で胚を培養していきます。
分裂した細胞は割球と呼び、胚の観察時は割球の数や、どの段階まで育っているのかを確認し、グレード評価も行います。
基本的には胚盤胞と呼ばれる状態になるまで培養してから移植や凍結を行いますが、症例によっては初期胚の状態で行うこともあります。
また、胚は一つ一つ性質が異なっているため、培養したすべての胚が胚盤胞まで育ってくるとは限りません。
タイムラプス
EmbryoScope®は胚観察用のカメラが一体となった培養器です。
EmbryoScope®で培養すると胚を培養器の外に出すことなく観察することが可能なため、培養環境の変化を起こしにくく胚にかかるストレスを軽減することができます。
また20分~30分ごとに胚の写真を撮影していくので、撮った写真をつなげたタイムラプス動画で胚の発育がどのように進んだのかを確認することも可能です。
動画を確認して分割にかかった時間、異常な分割はしていなかったか等を解析することでより妊娠率の高いと思われる胚を選ぶことができます。
【分割期胚のグレード】
割球の状態とフラグメント(細胞質の一部が断片化したもの)の量からグレードを5段階で評価します。
グレード1 (G1)
割球の状態 | 均等 |
---|---|
フラグメント | ない |
グレード2 (G2)
割球の状態 | 均等 |
---|---|
フラグメント | わずかにある |
グレード3 (G3)
割球の状態 | 不均等 |
---|---|
フラグメント | ない、または わずかにある |
グレード4 (G4)
割球の状態 | 均等または不均等 |
---|---|
フラグメント | 多い |
グレード5 (G5)
割球の状態 | 不明瞭 |
---|---|
フラグメント | かなり多い |
割球の状態 | 均等 | 均等 | 不均等 | 均等または不均等 | 不明瞭 |
---|---|---|---|---|---|
フラグメント | ない | わずかにある | ない、または わずかにある | 多い | かなり多い |
【胚盤胞のグレード】
拡張度(胞胚腔の広がり具合)と内部細胞塊、
栄養外胚葉の形態的評価から胚盤胞のグレードを決定します。
グレード表記
5 | 3 | A | A |
培養日数 | 拡張度 | 内部細胞塊 (ICM) |
栄養外胚葉 (TE) |
胞胚腔がどれだけ広がっているかを6段階の数字で評価します。
内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)をそれぞれA、B、Cの3段階で評価します。
内部細胞塊 (ICM)
栄養外胚葉 (TE)
※点線で囲まれた部分がICM
※点線で囲まれた部分がICM
柔らかいチューブを使って子宮内に胚を戻します。
症例によって初期胚移植か胚盤胞移植かを選択しますが、基本的には胚盤胞移植が第一選択となります。
【初期胚移植】
採卵から3日目の胚を移植します。
複数回採卵し、培養しても良好な胚盤胞が得られない場合などに行います。
【胚盤胞移植】
胚盤胞に育った胚を移植します。
培養していた胚が胚盤胞まで育たたなかった場合、移植は行えません。
初期胚移植よりも比較的高い妊娠率を期待できます。
透明帯の一部をレーザーで削り、細胞が透明帯から脱出しやすくなるように補助する方法です。
透明帯が硬くなっているなど胚盤胞自身の力での脱出が困難と思われる場合に行います。
子宮内膜が薄い、OHSSのリスクが高いなどの理由で採卵周期に胚移植を行えない場合は胚を凍結保存しておきます。また、採卵周期に移植を行っていても移植しなかった余剰胚は凍結保存しておき、2回目以降の移植に使用します。
凍結の際、細胞内に氷の結晶ができると細胞が死んでしまいます。そのため、凍結前に耐凍剤を浸透させてから細胞内の水分を脱水する処理を行い、その後液体窒素内で保存しておきます。
凍結融解後の生存率は90%以上です。
凍結保存していた胚を37度に温めておいた融解液に投入して融解します。
凍結時に浸透させた耐凍剤を希釈しながら段階的に除去していき、細胞を凍結前の状態に戻していきます。
3時間ほど回復培養を行い、細胞が生存しているかを確認してから移植します。
2022年4月から不妊治療が保険適用となり範囲が拡大され「人工授精」「体外受精」「顕微授精」が適用対応となりました。
一般不妊治療は全年齢の方が対象となります。
生殖補助医療は43歳未満の方が対象となります。
保険適用にあたっては制限があります。
*40歳未満では通算6回まで(1子ごとに)
*40歳以上42歳までは通算3回まで(1子ごとに)
*43歳以上は保険適用には該当しません。
また、対象の方については高額医療制度が利用できますので詳しくは医事課、外来スタッフにお尋ねください。